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薬思健考

第3回 老化は悪化ではない

投稿日:2013年04月17日

「老化は悪化ではない」 整形外科医 伊藤邦成のことば

織田信長が好んだ一節に「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。ひとたび生を得て滅せぬもののあるべきか」があります。圧倒的な今川軍を桶狭間でわずかの手勢で猛然と奇襲をかけ破りました、その出陣前にこの節で一舞いしたことは有名です。人間の一生は所詮五十年に過ぎない、天上世界の時間の流れと比べたらまるで夢や幻のようなものである。命あるものはすべて滅びてしまうものであると訳され世の無常を表しているといわれます。しかしもう一つ別の解釈もあります。それは信長のようにどうせ人生は五十年だから思い切ってやってやろうと勇ましい感情を表現したもとの解釈です。いずれにせよ戦国時代から明治までは人生50年でした。

現在の私たち日本人は世界トップクラスの長寿国です、平均80年以上は骨も関節、筋肉、スジ(腱)、神経が元気にもってくれないと困ります。しかし、私たちの体は戦国時代と大差なく人生50年のままで、当時の信長より特別な進化はしていません。いや戦国、江戸、明治の時代よりも運動や食生活ではマイナスの要素が多いかもしれません。従って50歳を過ぎると自然に体を支える骨格筋系に不具合が生じ、肩腰膝が痛くなるのはある意味当たり前かもしれません。

伊藤先生は、老化は必ず痛くなるわけではないと言います。確かに白髪が増えも痛くはないし、若者にも痛みは発生します。関節が痛くなるのは、体からのシグナルがあったにもかかわらず無視し続けた結果、例えばひざ痛は膝組織が悪化し痛みを感じない許容閾値を超えてしまったからです。筋肉は使わないとやせ衰えます、骨は適度な負荷がないともろくなります、関節は動かさないと潤滑油不足で動きが悪く硬くなります。だから老化と悪化は別のものです。体や関節を動かす適度な運動や良い姿勢を保つ努力をしないで年のせいにするのは、自分の体に申し訳ないことです、症状の悪化は自分のせいなのです。関節など運動器の健康対策は、遅すぎる早すぎるはありません。自分のせいによる悪化は、今の自分が努力することで進行を抑え改善することができます、年だからと諦めないようにしましょう。「運動器の健康を保つには適度に動かすことが大切です、さらに言いますと普段から良い姿勢でいることがもっと大切です」と伊藤先生はいいます。ただし、このようなお話を聞くと、急に一念発起して激しく運動する方がいます。大切なのは正しい姿勢と運動の継続です。現在整形外科で治療中の方は、今の自分にあった運動は何かを必ず医師に相談し助言をいただいてから始めましょう。

老化は、だれにでもおこることです。しかし、悪化は自分が努力したら改善することができます。老化は悪化ではありません。

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