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薬思健考

第9回 解かれることを望まない秘密だってあるさ

投稿日:2014年01月17日

「解かれることを望まない秘密だってあるさ」エドガー・アラン・ポーの言葉です。
先日、あるラーメン屋さんで雑誌をひらくと、一人の漫談家が介護施設で亡くなって一周忌を迎えたとのコラムが載っていました。施設のヘルパーによると、遺品は売れていたころのブロマイド1枚と紫の蝶ネクタイとラメ入りスールのステージ衣装、年金をコツコツためた五十万円だったそうです。その漫談家には二人の娘がいて長女は先妻に引き取られ、次女は内縁の妻との間に生まれたそうです。気ままな生き方が災いしたのか、晩年は内縁関係も解消され娘たちとも疎遠になってしまいました。その漫談家は、よせばいいのに二人の娘に宛てて遺言を送ってしまった。二人の娘はこの遺産分けの時に初めて姉妹として対面しました。いささか迷惑でもあったようであるが、初対面なのに懐かしさも感じていました。しかし、二人とも遺言は封を開けずに棺に納め、預金は納骨堂の永代供養料に充てられました。ブロマイドは、長女が、ステージ衣装は次女が持ち帰りました。このコラムは、元日刊ゲンダイ編集長鈴木義郎さんの「秘密とは美しい記憶でなければならない」から私がかってに抜粋しました。
私たちだれもが一つや二つ、話したくない過去があります。ただ、時間経って美しくなるもの、棺桶に一緒に持っていくものなど様々です。秘密とは、自らの過去を守るためではなく、自分以外の誰かを守るための美しい記憶でなければならないからと鈴木氏はこのコラムを結んでいます。
私は、ラーメン屋さんで偶然見つけた少し前にかかれたコラムにジーンとなり、店主にお願いしラーメンの汁痕のついた雑誌をいただきました。そのお返しに私は「北海道の温泉宿」を紹介した最新版の雑誌を持参しました。

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