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札幌市西区山の手の調剤薬局 地域に根ざした地域生活薬局を目指します。

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薬思健考

このコラムは、薬剤師が薬を通して思うことや健やかに生活するための考えをキーワードで紹介します。すべての方に当てはまるとは限りませんが、薬や健康生活の一つの考え方として一読いただければ幸いです。

第9回 解かれることを望まない秘密だってあるさ

投稿日:2014年01月17日
「解かれることを望まない秘密だってあるさ」エドガー・アラン・ポーの言葉です。
先日、あるラーメン屋さんで雑誌をひらくと、一人の漫談家が介護施設で亡くなって一周忌を迎えたとのコラムが載っていました。施設のヘルパーによると、遺品は売れていたころのブロマイド1枚と紫の蝶ネクタイとラメ入りスールのステージ衣装、年金をコツコツためた五十万円だったそうです。その漫談家には二人の娘がいて長女は先妻に引き取られ、次女は内縁の妻との間に生まれたそうです。気ままな生き方が災いしたのか、晩年は内縁関係も解消され娘たちとも疎遠になってしまいました。その漫談家は、よせばいいのに二人の娘に宛てて遺言を送ってしまった。二人の娘はこの遺産分けの時に初めて姉妹として対面しました。いささか迷惑でもあったようであるが、初対面なのに懐かしさも感じていました。しかし、二人とも遺言は封を開けずに棺に納め、預金は納骨堂の永代供養料に充てられました。ブロマイドは、長女が、ステージ衣装は次女が持ち帰りました。このコラムは、元日刊ゲンダイ編集長鈴木義郎さんの「秘密とは美しい記憶でなければならない」から私がかってに抜粋しました。
私たちだれもが一つや二つ、話したくない過去があります。ただ、時間経って美しくなるもの、棺桶に一緒に持っていくものなど様々です。秘密とは、自らの過去を守るためではなく、自分以外の誰かを守るための美しい記憶でなければならないからと鈴木氏はこのコラムを結んでいます。
私は、ラーメン屋さんで偶然見つけた少し前にかかれたコラムにジーンとなり、店主にお願いしラーメンの汁痕のついた雑誌をいただきました。そのお返しに私は「北海道の温泉宿」を紹介した最新版の雑誌を持参しました。

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第8回 「もったいないけど」それは「いまでしょう」

投稿日:2013年10月28日
8月にサークル薬局にこられた71才の患者さんの言葉です。

いろいろ痛いところがある方ですが、三か月に一度くらい痛み止めが処方されます。14日分で三か月もたしている状態です。その患者さんが言うには、「長く歩くと腰などいろいろ痛くなるが、もっと痛いときがあったらこの薬を飲もう、もったいないからその時までとっておく」とのお話でした。甲状腺の薬、血圧の薬、心臓の薬は続けてのまないといけないと普段飲んでいる薬の継続服用の重要性はよく知っている様子。つらい痛みは血圧や心臓に普段をかけることもあります。今日は遠いご自宅から歩いてきており、受診後ですが「腰が痛い」と薬局の待合に腰を下ろしていました。ここで一回分飲んではいかかですか?「そうですね、薬はもったいないけど、飲むのは今でしょう」と痛みにゆがんだ顔に笑顔を浮かべて胃薬と一緒に痛み止めを1錠飲まれました。

こんな何気ない会話でも冗談を交えてお話してくださる患者の達人です。

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第7回 「同じ年齢の方より若く見えるようにしています」 ある90歳の患者さん

投稿日:2013年10月24日
月に一度サークル薬局に処方箋を持参いただく90歳の患者さんがいらっしゃいます。仮の名前を若井(ワカイ)さんとしましょう。いろいろな病気は持っておられ3つくらいの病院を掛け持ち通院しています。

若井さんは、10月のある日お昼くらいに来局されました。朝から来ていたが混んでいて待ち時間が長く今までかかったこと、おなかが空いたことなどが挨拶代わりです。現在の体調や今回の薬のことなど一通り確認説明させていただき、「若井さんには、失礼かもしれませんがとても90歳には見えません。お話もしっかりされていて立派ですね」とお話ししました。その時に、若井さんのお話してくださった言葉が、「私は同じ年の方よりも若く見えるようにしています、またそう思うようにしています」でした。患者さんのなかには、「私はもう年だから仕方ないの、年だからどうやっても治らないの」と口癖のようにマイナス言葉を連発する方がいます。でも来ても治らないはずの病院に来て、飲んでも効かない薬をもらいます。病院の玄関があく前から2時間も並んでいる方もいます。でも本当は、少しでも痛みがなくなり、若井さんのように少しでも若さを保ちたいから通院していると思います。世界トップクラスの長寿国で暮らす私たちです、若井さんのように考え発言行動すると治療がより効果的かもしれませんね。

デンマークで進行中の、高齢者の死亡率についての追跡調査データが英国医学雑誌に収載されました。対象者1826人のうち387組(774人)は同性の双子でした。その双子の対象者が何歳に見えるかを老年科10人の看護師が推測し、10人の推測年齢の平均を見かけ年齢としました。その後約7年間追跡調査をしました。その結果は、双子なので実年齢が同じでも見かけ年齢が1歳高くなると死亡率が毎年8%づつ高くなるというものでした。日本でも東北大学で同様の研究がされ同じような結論が出ているそうです。高齢者の長寿については「人は見かけによる」可能性がありますね。若く見えることは長寿には重要であると証明されています、若井さんスゴイ!

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第6回 嫌な出来事のあとに『おかげで』をつけてみる

投稿日:2013年09月24日
昨年7月16日の天声人語に朝日新書『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』心屋仁之助ココロヤジンノスケ著を引用した行がありました。「嫌な出来事のあとに『おかげで』をつけてみる」との助言です。私たちは、いくらうまくやったつもりでも失敗をします、そのようなときに、あの失敗のおかげで今があるというように・・・、チャンスはピンチの顔をしてやってくる。その時は辛くても、何かの肥やしになったと思える体験は結構あります。

普段、患者さんと次のような会話をします。今年は雪が多く雪道で足滑らせて転倒する方がたくさんいました。なかにはその拍子に手首にひびが入ってしまったとうつむいて来局された方がいます。その際に骨折の治療が一段落し骨のレントゲンを診て、骨粗しょう症の疑いを医師から指摘され腰椎と大腿骨骨とう部の骨密度測定、血液検査、尿検査などの検査をして、骨粗しょう症が発見され治療が開始になるケースがあります。骨粗しょう症の治療は、将来の寝たきりの予防であること、寝たきりになると多くの病気の引き金になること、認知症へすすむ恐れもあります、そして何よりもあちこちにいけない不幸が待っています。すると「あのスッテンコロリがあったおかげで、早めに骨粗しょう症の治療ができた」将来の寝たきりの生活をいくらかでも予防できたと考えると、スッテンコロリしてよかったかも。そう考える方は治療も前向きになりますね。故事では、万事塞翁が馬ということですかね。

スッテンコロリがあったおかげで、サークル薬局と知り合いになれたと言ってもらえたら幸せです・・・。

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第5回 「じぇじぇじぇ!」 NHK連続テレビ小説あまちゃんのアキの言葉

投稿日:2013年09月24日
長嶋(巨人軍終身名誉監督)さんが巨人軍監督の時、自軍の選手に守備はゴロをサッと捕って一塁にピシッと投げる、解った?と身振りをまじえて指導していました。バッティングでも、ボールをグーと懐にひきつけグッツと腰の回転でバシッとたたく。変化球は1,2,3ではなく1,2-の,3で2-のでためをつくり打つといった具合です。なんのことか我々にはさっぱりですが、その道のプロは視覚、聴覚、触覚に加えて擬音という感覚印象から自分の技術を高めていくことができるのでしょう。このサッ、ピシッ、グー、グッツ、2-の等は「オノマトペ(仏語で擬音語・擬態語を意味する言葉)」といいます。

調剤薬局でも患者さんからの痛みなどで複雑微妙なものをいろいろな言葉で伝えてもらっています。表現しにくい症状を独自のオノマトペで表現いただければイメージしやすく、感覚印象がより身近に感じることができます。「ヒリヒリ痛い」「ズキンズキン痛い」「キリキリ痛い」「ピリピリ痛い」「チクチクしたシビレ」「お腹がニヤニヤする」「何かを踏んでいるようなボワーンとした感じ」「ピリッと電気が走る」等々たくさんあります。患者さん一人ひとりが感じる表現しにくい症状をそのまま私たちは記録させていただきます。それが次回来局時に同じ表現からスタートすることでスムーズに会話が進み、相互に共感しやすくなり安心や納得が生まれます。

担当者:「チクチクした左足のシビレはいかがですか?」

患者さん:「それはだいぶ良くなった、しかしちょっとした足の角度で、ピリッと電気が走る。あれって急に来るのでビクンとしていやだね。分かるしょ?」

担当者:「分かります、チクチクがピリッになり、急にビクンですね」

東日本大震災で医師をはじめ医療関係者が全国から駆けつけました。「この暑さで あふらあふら なんねぇ方が おがすい」、「朝ま 手の指ぁ もんもりすて 皮ぁ つぃっぱるよぁな 気ぁする」と訴えられこまった医療ボランティアがたくさんいたことでしょう。前述の例はネットにあった東北方言の豊かで多彩な表現の一例です。最初は、「この暑さでふらふらしないほうが変だ」と語感から推測できます。次の「もんもり」は腫れて重く熱を持った様子を表現したオノマトペで「朝方、手の指が腫れて、皮がつっぱるような気がする」ということになります。

表題の「じぇじぇじぇ」は、母親の実家がある岩手県北三陸を訪れ、海女を続ける祖母の姿に影響され海女になる決意をしたアキが発する驚きを表す方言で「じぇ」の数が多いほど驚きが強い。これもオノマトペです。「じぇじぇじぇ」は今年の流行語大賞になるかもしれませんね。

(追伸)

「東北方言オノマトペ用例集」は国立国語研究所が作成し東北の主な医療機関に配布

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第4回 薬は頑張っています、次は患者さんの番です

投稿日:2013年05月26日
尿酸値が10近くあった患者さんから聞いた言葉です。

尿酸はなんとなく厄介者のイメージ、漢字で書いても発音もいい響きではないですね。尿酸は遺伝情報のDNAやエネルギー物質のATPに含まれるプリン体が分解して作られます。従ってレバーや魚卵、ビールなどプリン体の多い食事だけを目の敵にする方もいますが、自分の体の細胞が古くなるとできるものなので食事にかなり気を付けてもなかなか尿酸値の低下に直結しないのはこのためです。痛風発作は足の指や足首など腫れて激痛が特徴です、風が吹いても痛いと言われることから痛風という名がつけられました。

この患者さんは、激痛の痛風発作を消炎鎮痛剤で治めた後、尿酸を下げる薬で尿酸値(基準3~7)が7点台まで下がってきたが、それ以下にはなかなかならない。その時主治医が言った言葉「薬は頑張っています、つぎは○○さんの番ですね」です。うまいこと言うお医者さんですねと感心しました。これ以上は薬を増やすのではなく、生活習慣から治療しましょうとのお話です。そのコツは1日の総カロリーを落とすことがまず重要ですが、焼酎はプリン体が入っていないと安心してのむのはいかがでしょうか。アルコールそのものが腎臓からのプリン体の排せつを抑えることがわかっています。ビールだけが悪いのではないのです。また、アルコール量が増えると酒の肴がプリン体の多いものになってしまいます。痛風専門医によるとあまり食事の制限をしなくても、お酒を減らすだけで劇的に尿酸値が下がる患者さんがたくさんいますとのこと。

ちなみに尿酸のかたを持つわけではありませんが、神様は無駄なものは何も作っていません。尿酸は私たちの体の中で適量のときには抗酸化作用を発揮しています。赤ワインなどのポリフェノールと同じ抗酸化作用で老化を予防している大切なものでもあります。尿酸だって頑張っています。

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第3回 老化は悪化ではない

投稿日:2013年04月17日
「老化は悪化ではない」 整形外科医 伊藤邦成のことば

織田信長が好んだ一節に「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。ひとたび生を得て滅せぬもののあるべきか」があります。圧倒的な今川軍を桶狭間でわずかの手勢で猛然と奇襲をかけ破りました、その出陣前にこの節で一舞いしたことは有名です。人間の一生は所詮五十年に過ぎない、天上世界の時間の流れと比べたらまるで夢や幻のようなものである。命あるものはすべて滅びてしまうものであると訳され世の無常を表しているといわれます。しかしもう一つ別の解釈もあります。それは信長のようにどうせ人生は五十年だから思い切ってやってやろうと勇ましい感情を表現したもとの解釈です。いずれにせよ戦国時代から明治までは人生50年でした。

現在の私たち日本人は世界トップクラスの長寿国です、平均80年以上は骨も関節、筋肉、スジ(腱)、神経が元気にもってくれないと困ります。しかし、私たちの体は戦国時代と大差なく人生50年のままで、当時の信長より特別な進化はしていません。いや戦国、江戸、明治の時代よりも運動や食生活ではマイナスの要素が多いかもしれません。従って50歳を過ぎると自然に体を支える骨格筋系に不具合が生じ、肩腰膝が痛くなるのはある意味当たり前かもしれません。

伊藤先生は、老化は必ず痛くなるわけではないと言います。確かに白髪が増えも痛くはないし、若者にも痛みは発生します。関節が痛くなるのは、体からのシグナルがあったにもかかわらず無視し続けた結果、例えばひざ痛は膝組織が悪化し痛みを感じない許容閾値を超えてしまったからです。筋肉は使わないとやせ衰えます、骨は適度な負荷がないともろくなります、関節は動かさないと潤滑油不足で動きが悪く硬くなります。だから老化と悪化は別のものです。体や関節を動かす適度な運動や良い姿勢を保つ努力をしないで年のせいにするのは、自分の体に申し訳ないことです、症状の悪化は自分のせいなのです。関節など運動器の健康対策は、遅すぎる早すぎるはありません。自分のせいによる悪化は、今の自分が努力することで進行を抑え改善することができます、年だからと諦めないようにしましょう。「運動器の健康を保つには適度に動かすことが大切です、さらに言いますと普段から良い姿勢でいることがもっと大切です」と伊藤先生はいいます。ただし、このようなお話を聞くと、急に一念発起して激しく運動する方がいます。大切なのは正しい姿勢と運動の継続です。現在整形外科で治療中の方は、今の自分にあった運動は何かを必ず医師に相談し助言をいただいてから始めましょう。

老化は、だれにでもおこることです。しかし、悪化は自分が努力したら改善することができます。老化は悪化ではありません。

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第2回 まごたちはやさしい 

投稿日:2013年03月21日

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「まごたちはやさしい」 横山みさ子ら多くの栄養士のことば

この言葉は、次のような9種類を意識してとることで必要なビタミンやミネラル、食物繊維までバランスよくとれる、よい食生活に欠かせないキーワードです。インスタントやレトルト食品、外食に偏りがちな生活を見直すきっかけにしましょう。

ま・・・・・豆類(豆腐や納豆、油揚げなど)
ご・・・・・ごま
た・・・・・卵
ち・・・・・ちち類(乳製品)
は(わ)・・わかめなど海藻類
や・・・・・野菜
さ・・・・・魚
し・・・・・シイタケ、シメジなどきのこ類
い・・・・・イモ類(ジャガイモのほかに山芋、里芋のヌルヌルもいい)

「おかず」という言葉は、「かずかず」たべるの意味です。七味唐辛子で七品目にはなりません。これがいいとテレビで宣伝されるとそればかり食べる、それが体に悪いといわれると極端に毛嫌いをする、食品の成分表はカロリーだけ見るなんって方がたまにいますね。9種類をバランスよく食べることはまさに日本のおふくろの味です、袋詰めばかりのふくろの味ではありません。「まごたちはやさしい」で糖尿病や高血圧、骨粗しょう症など生活習慣病を予防しましょう。1日のなかで9種類すべてとれるのが理想ですが、昨日乳製品が少なければ、今日は意識してとりましょう。2~3日の食生活で過不足を調整補正することで無理なく「まご食」を楽しめます。健康で長生きすると、優しい孫達に囲まれますね。

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第1回 カサネバダルフラは危険信号

投稿日:2013年03月01日

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第1回目は、「カサネバダルフラは危険信号」です。丸山淳二医師の言葉です。
昔の体育系クラブ活動は、ご存じの方も多いでしょうが、今では問題になるであろう罵声やパワハラ、シゴキは当たり前、時には体罰(鉄拳制裁)もありました。また、当時は汗をかいてバテテしまうからと運動中は水を飲まないように言われていました。これは、時に脱水という危険な状態を作ることをわかりませんでした。時代は変わり、現在はいかに効率よく水を補給するかが重要です。マラソンもサッカーなど休まないで動くスポーツでも、時間を見つけてどんどん水分を補給します。
私たち人間は、体の60%が水です。この重要な水が不足しないように補給するコツは、のどが渇く前に定期的に補給することです。熱い夏場だけでなく冬場も乾燥により脱水を起こします。1時間に100mL(コップ半分)で10回が目安です、そうすると食事からの1Lと合わせて1日必要量2Lは補給できます。いっぺんに水を大量にとると、水は利尿剤に変わりかえって脱水を起こします、いっぺんに入った余分な水を排泄しようと1.1~1.5倍の水を出します。ビールなどのお酒も同様に利尿作用があります。その証拠に、経験ある方もいると思いますが二日酔いの朝は「水くれ、水が一番うまい」となりますよね。
おしっこに起きるからと午後から夜は水を飲まない方、下痢をしていて水を飲むとまた下痢するからと飲まない方、風邪引いて熱があるとか吐いてしまうと水をのまない方、どの方も危険な脱水予備軍です。脱水が常態化するとそれに体が慣れてしまい、のどが渇いていることさえ分からなくなります。脳梗塞や心筋梗塞などいろいろな病気の原因になってしまいます。「カサネバダルフラは危険信号(丸山淳二医師よる)」です。つまり「ひふのカサカサ、口がネバネバ、体がダルイ、フラツク」は脱水症状です。繰り返しとなりますがのどが渇く前に定期的に水分補給することが重要です。

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